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第161回直木賞候補作・まとめ【7月17日選考委員会開催!】

いよいよ第161回直木三十五賞発表前日です!

直木賞は年に二度ある大衆小説に与えられる文学賞として最も注目される文学賞の一つです。

きたる7月17日午後4時より選考委員会が開催されます。

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昨年度、大注目された作品ですよね。

今回はどの作品が受賞するのでしょう。楽しみです!

候補作をまとめてみましたのでここで確認して選考に注目してみるのはいかがでしょうか。

第161回直木賞候補作

『平場の月』朝倉かすみ

あらすじ:印刷会社に勤める青砥は数年前に離婚して実家で独居しています。

胃の検査のために訪れた病院で須藤と出会います。須藤は中学時代の同級生で浅からぬ思い出のある女性です。

彼女は夫と死別後、地元のちいさなアパートでやはりひとりで暮らしていました。

35年ぶりの再会から始まる2人の約2年の日々が綴られた物語です。

朝倉 かすみ

1960年生まれ。2004年「肝、焼ける」で第72回小説現代新人賞を受賞。05年、同作品を収録した『肝、焼ける』でデビュー。

〈作品〉「コマドリさんのこと」で第37回北海道新聞文学賞受賞。『肝、焼ける』2005年講談社刊(「コマドリさんのこと」併録)。『田村はまだか』08年光文社刊で第30回吉川英治文学新人賞受賞。『平場の月』18年光文社刊で第32回山本周五郎賞受賞、他。

悲恋の物語。

仕事や介護問題など、平場の厳しさというか現実や足元を見ないと生きていけない日々の中で上を見る瞬間が読んでいると本当に愛おしく感じます。

感情のうねりが圧倒的に描かれている一冊でした。

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『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』大島真寿美

大島 真寿美

1962年生まれ。92年「春の手品師」で第74回文學会新人賞を受賞しデビュー。

〈作品〉『ピエタ』11年ポプラ社刊で第9回本屋大賞第3位。『あなたの本当の人生は』14年文藝春秋刊で第152回直木賞候補、他。

私は生で人形浄瑠璃を観たことがありませんが、それでも文章を読んで頭の中で浮かぶ「妹背山婦女庭訓」を始めとした人形浄瑠璃の作品の描写に興奮しました。

頭の中では最高に観客を賑わす人形浄瑠璃が展開されていました。

人生を賭けて理想の作品を生もうという人々の魅力を感じられる作品です。

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『トリニティ』窪美澄

窪 美澄

1965年生まれ。フリーの編集ライターを経て、2009年「ミクマリ」で、第8回女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞しデビュー。

〈作品〉『ふがいない僕は空を見た』2010年新潮社刊で第24回山本周五郎賞受賞。同作は本屋大賞第2位、本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10第1位となっています。『晴天の迷いクジラ』12年新潮社刊で第3回山田風太郎賞受賞、他。

時代背景も三島由紀夫や夏目漱石の名前や、地下鉄のテロ事件、あさま山荘事件などその時代のトピックがその時代を生きた登場人物の考えに影響を及ぼしていて、ただのフィクションではなく私たちの世界の物語として感じることができました。

平成が終わり令和が始まったというタイミングに合ってるとも言えますが、変わっていく時代の中で必死に生きてきた人たちの繋がりとして私たちがいることを重厚で圧倒的に感じさせてくれる物語でした。

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『落花』澤田瞳子

『マジカルグランマ』柚木麻子

柚木 麻子

1981年生まれ。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール読物新人賞受賞。同作を含めた単行本『終点のあの子』でデビュー。

〈作品〉『ナイルパーチの女子会』15年文藝春秋刊で第28回山本周五郎賞受賞、第3回高校生直木賞受賞。『BUTTER』17年新潮社刊で第157回直木賞候補、他。

ちょっと驚いてしまうほどスケールが大きくなっていってその中を逞しくというか自分の感情に素直にわがままに過ごしていく正子さんの姿がすごいです。

突き進む正子さんの姿は時々苦笑いになりながらもなんか愛らしい。

おばあちゃんなのにここまで動けてすごいという物語ではなくて、世代関係なく思ったこと、感じたことに素直になってそのために全力を尽くす姿を楽しめる話でした。

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いちくらとけい
社会人の本好きです。現在、知的障害者の支援施設で働いています。 小説を読むことも書くことも大好きです。読書をもっと楽しむための雑記ブログを作りたいという気持ちで立ち上げました。

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