ちょっと新しい日々を体感してみませんか?
『君の膵臓をたべたい』の住野よるさんが送る大人気シリーズの新刊です!
私の周りには住野よるさんの作品で小説が好きになったという方も多く、私自身、今まで素敵な喜怒哀楽を楽しませてもらった人間の一人です。
住野よる『君の膵臓を食べたい』感想【僕の春の思い出。彼女の一生の思い出】|【雑記ブログ】いちいちくらくら日記 (tokeichikura.com)
本作は図書館勤務の20代女子・麦本三歩のちょっと新しい日々が詰まった小説です。
「麦本三歩は○○が好き」というタイトルの12のエピソードが収録されています。
第一集が発売されて人気を博しコミカライズもされたシリーズの待望の最新刊。
第一集の感想はこちら!
住野よる『麦本三歩の好きなもの』【住野よる最新作!好きなものがたくさんあるから、毎日はきっと楽しい】|【雑記ブログ】いちいちくらくら日記 (tokeichikura.com)
あらすじ
後輩、お嬢さん、合コン相手―
図書館勤務の20代女子・麦本三歩のあいかわらずだけどちょっと新しい日々が詰まった『麦本三歩の好きなもの』シリーズ第二集です。
麦本三歩が詰まった12篇の物語が収録されています。
第一集でも登場した「怖い先輩」や「優しい先輩」、「おかしな先輩」に加えて、後輩や、双子の弟などさらに魅力的な三歩ワールドが広がっていく1冊です。
麦本三歩の好きなもの・第二集の感想
心が晴れていくような魅力がたくさん!
内容は勿論なのですが文章全てが三歩の世界を私達に馴染ませてくれるような1冊です。
三歩の愛すべきキャラクターと三歩の分身のようなナレーター(イメージ的にはちびまる子ちゃんのアニメのナレーター)がテンポよく三歩の気持ちに寄り添い時折つっこむので軽い気持ちですいすい読めます。
深く考え込むような場面はないけれど、身近で些細なあるあるや三歩が語る固有名詞に気持ちは緩やかに上下させられました。
そして三歩の周りは温かい人たちばかりで、職場には本当にとてもとても理想的な雰囲気が流れています。
こんな雰囲気はあり得ないなぁと思いながらも読み進めて癒されている自分がいました笑
そして自分個人としてはこの三歩の身の回りの先輩や後輩のように優しい気持ちで人とせっしていきまいと思いました。少しでもね。
ほのぼの展開していくのですが各エピソードを読み進めていくと少しずつの三歩の成長が感じられて嬉しい気持ちになりました。
「ちょっと新しい日々」の紹介をちょっとだけ
ちょっと新しい日々はドラマチックな日々ではありません。
私たちの日常でも出会う、出会ってきたゆるやかな変化です。
でもなぜそれが三歩のフィルターを通すとその「ちょっと新しさ」を体感することができます。
私たちが素通りしてしまうような出来事を三歩は瑞々しい感覚でそこにちょっと新しい価値を見出し、私たちにも感じさせてくれるのです。
例えば「麦本散歩はプリンヘアが好き」でお隣さんとの出会いのエピソードが描かれています。
挨拶をしたり、お裾分けがあったり何でもないやりとりがあります。お隣さんの生活音を聞きながらなんとなく安心し、それと同時に自分が限られた人間関係の中で生きているとその限られた場所にしかいてはいけないのではないかと恐ろしくなったことを考えます。
そしてお隣さんの夕方のお掃除の音を聞きながら感じるのです。
お隣さんと無理に仲良くするとかではなくて、隣人として過ごしていることでお互いの存在を肯定し認めてくれるような感覚。
その日の夕食はお惣菜祭りにしようと考えていた予定を変更して三歩が感じたこと。
代わりに、生活感の出る料理を作ろうろうと決めたのだ。包丁とまな板のぶつかる音や洗い物の音が、お隣に届くかもしれないものにしよう。それから明日晴れていたら布団を干そう。ひょっとしてお隣さんも同じタイミングで外に出てきたら、萩の月のお礼に最近はまっている大判えびせんを一枚あげよう。
何も届かなくてもいい、ちょっとだけ生きる責任を持ってあげられたらいい。
普段三歩はたくさんの言い間違いをしたり(それはボケなのと思うくらいユーモアに富んでいて面白いのですが)、うっかりミスをしたり、ふわふわした印象もあるのですが、とても真っすぐ世界を眺めて考えている姿にどきっとします。
それは私が見落としがちな感覚だけども、とても大事にしたい感覚。
だから本作品の読書を通して私自身瑞々しい感覚になることができました!
終わりに
この第二集は上で引用したお隣さんんとのエピソードの他にも、三歩の双子の弟が登場したり、恋愛が描かれたり、怖い先輩の門出があったり、見どころ満載の好きなものエピソードがあります。
第一集を読んで三歩のキャラが好きな方には絶対おすすめです!
また、ノリのいい文章で綴られているので漫画大好きだけど、小説は今まであんまり読まなかったけれどこれから読みたいというひとにもおすすめ!
私は読み終えて、特に感染症のニュースなど明るくない情報も多い中で、前向きな視線を与えてくれる三歩の姿に感謝しました。