第161回芥川賞・直木賞が発表されました。
まるで受賞作が何になるのか読めないくらいそれぞれ面白さの方向が違う作品ばかりで私自身楽しみに昨日を迎えました。
第161回直木賞候補作についてはこちら。
さて今回は受賞作の紹介をします。
第161回芥川賞受賞・『むらさきのスカートの女』今村夏子
近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性のことを〈わたし〉は気になって仕方がありません。
「むらさきのスカートの女」の行動、言葉を異常ともいえる執着で観察しています。
〈わたし〉は彼女とともだちになるために〈わたし〉の職場で彼女が働き出すように誘導します。そしてまたその行動を観察し続けるのです。
狂気と紙一重の滑稽さを孕んだ中編小説です。
今村 夏子
著者の今村夏子さんはデビュー作『こちらあみ子』で三島賞受賞、第二作『あひる』で芥川賞候補、河合隼雄物語賞受賞、第三作『星の子』でも芥川賞候補、野間文芸新人賞受賞と各作品で評価を受けている作家さんです。
むらさきのスカートの女は勿論、〈わたし〉も職場の人間も皆、個性があって気持ちの流れにはらはらしながらもついつい次へ次へ読んでしまいます。
むらさきのスカートの女の魅力と取り巻く狂気の面白みの虜となりました。
第161回直木賞受賞・『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』大島真寿美
大島 真寿美
1962年生まれ。92年「春の手品師」で第74回文學会新人賞を受賞しデビュー。
〈作品〉『ピエタ』11年ポプラ社刊で第9回本屋大賞第3位。『あなたの本当の人生は』14年文藝春秋刊で第152回直木賞候補、他。
私は生で人形浄瑠璃を観たことがありませんが、それでも文章を読んで頭の中で浮かぶ「妹背山婦女庭訓」を始めとした人形浄瑠璃の作品の描写に興奮しました。
頭の中では最高に観客を賑わす人形浄瑠璃が展開されていました。
人生を賭けて理想の作品を生もうという人々の魅力を感じられる作品です。
終わりに
今回もテレビニュースになるほど大注目のイベントでしたね。
私は人形浄瑠璃を観たことがないので『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』をきっかけに観てみたいと個人的には思っています。妹背山婦女庭訓観てみたいな。
そう思えるのも魅力的な小説は自分の世界を広げてくれるからだと思います。
芥川賞候補作はこれから出版される書籍も多いので楽しみしつつ、様々な読書をしてまた新しい世界が広がっていったら本当に嬉しい。