圧倒的支持を得た日本文学にして世界文学の最前線!
「第69回読売文学賞」、「第34回織田作之助賞」、「第3回渡辺淳一文学賞」の三冠受賞作品です。
台湾の少年たちの物語です。
ものものしいタイトルにはインパクトがありますが、中身を読んでみると少年達の体温に満ちていて厳しい家庭環境の中で生きる少年達が送る日々に引きずり込まれていきます。
読み終わってタイトルの意味もすっと腹に落ちるような美しい少年小説を紹介します。
Contents
簡単なあらすじ・説明
夏休みが終わる二日前、ぼくたちの人生はここから大きく狂いはじめたんだ。
2015年冬、アメリカで連続殺人鬼「サックマン」が逮捕される。そしてサックマンのことを「わたし」はよく知っている。
それは30年前だった。
1984年夏、台湾で4人の少年は厳しい環境の中、親しく、時には激しく喧嘩もしつつ過ごしている。そしてある計画の決行を決める。
僕が殺した人と僕を殺した人の感想
今と30年前の少年時代が並行して進んでいきます。
台湾名に慣れなくてこれは誰であれは誰とか前半、読み辛さを感じながら読んでいきました。(ただ始めのページに主な登場人物の名前が分かりやすく並べられていて親切に作られています)
でも出来事が生々しく、迫力を持っていて読むのを止めることができませんでした。
後半になると完全に名前が頭の中に定着して物語の中にますます引きずり込まれました。
ごく感覚的な感想ですが、この話は美しい話だけどももう壊れてしまっているからどうしようもなく悲しい。
並行した話が繋がり、終幕へと導かれていくのを見届けるような想いで読みました。
終わりに
頭の中で絵が浮かぶ小説です。
台湾の情景が想像なのに頭に鮮やかに浮かんで映画を観るような感覚でした。
でもやはり後半は悲しくて少年達の過去と未来の繋がりが辛かったです。
それでも読んだ後に感じた胸が一杯になるような感覚はこの本の力でしょう。
心の中で存在を示し続ける力を持った読書でした。