「たおやかに」とは「姿・形・動作がしなやかでやさしいさま」
窪美澄さんの新刊は、
人生の中盤、妻でも母でもない新たな道が輝き出す傑作長編です。
帯には「家族に疲れた」、「風俗に通う夫」、「不実を隠した父」、「危険な恋愛に耽る娘」などなかなか重い言葉が並んでいます。
読後も気持ちが重くなるような想像もしてしまう方もいるかもしれませんが、私は読み終えて自分自身と素直に向き合えるような、前向きな感覚を持ちました。
励まされると言ってもいかもしれません。
窪美澄さんは『やめるときも、すこやかなるときも』が2020年連続ドラマ化されて新しく興味を持たれた方も多くいるのではないでしょうか。
今作も私にとって「読んで本当によかった」と思える大切な一冊になりました。
Contents
簡単な内容紹介・あらすじ
結婚20年、主婦・絵里子の人生は穏やかに収束するはずでした。
風俗に通う夫、不実を隠した父、危険な恋愛に耽る娘…夫の心も、娘の顔も、見たくなくなるくらいに、次々つきつけられる思いがけない家族の“真実”があります。
大きな虚無を抱えた絵里子に、出会いや再会があり、人生の中盤、妻でも母でもない新たな道が輝き出す傑作長編です。
たおやかに輪をえがいての感想
他人の気持ちでわからない部分は時々考えながら過ごしていても、自分の気持ちがわからないで悩むことは少ないように思います。
でも自分の抱えている我慢だったり、もしかするともっとこうなりたいという渇望は気づいていないだけできっとあるのだと思います。
自分の周りの輪も、見た目は穏やかな円を描いていても中身は無理を背負った歪な形をしているのかもしれない。
そんなことを感じながら読んで、毎回窪美澄さんを読む時には痛く、苦しい想いにもなります。
でも、そういったところからまた新たな自分や相手で進み出す道は、痛さの分、励まされる気持ちにもなって、毎回の新刊が楽しみな作家さんです。
我慢をするなってことではなくて、自分の気持ちに素直に向き合って過ごすことって大切だと思います。
終わりに
最近、仕事も重くて、悩むことも多く、本は読めどもアウトプットは追いついていませんでした。
年度末の忙しさの中で、さらにはウィルス関連の話題も多く、時間的にも身体的にも苦しい方も多いかと思います。
なんとか皆様無事にこの時期を笑って振り返れるように過ごしていけますように。
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