2014年のミステリー年間ランキングで3冠に輝いたミステリ―短編集!
表題作の人を殺め静かに刑期を終えた妻の本当の動機が浮かび上がる「満願」をはじめ、奇妙な事件の裏に人の特別で強い気持ちが流れている6つの短編が綴られています。
また「満願」はNHKでドラマ化もされています。
昨日紹介した『本と鍵の季節』とは雰囲気がまた違えば魅力も違うミステリー。
知人やインスタの読書好きフォロワーさんから面白い作品として上げられることの多い人気作で、私も読んでこれはおすすめだと感じました。
あらすじ
人生を賭けた激しい願いが6つの謎を呼び起こします。
驚愕の結末で読者を唸らせる表題作をはじめ、交番勤務の警官や在外ビジネスマン、美しき中学生姉妹、フリーライターなど切実に生きる人々が遭遇する6つの奇妙な事件が綴られています。
入念に磨き上げられた流麗な文章と精緻なロジックで魅せるミステリ短編集の傑作です。
満願の感想
深く胸に残る短編ばかり。
狂気とも言えるのかもしれません。
それぞれの短編で強い人間の感情が元になっている謎があって、それがわかるたびに衝撃を受けました。
内容が濃くてさらっと読み終えるという話ではなくて一つ一つ感じ入ることができる物語で重めにも関わらず立ち止まることなく読みました。
どれも心に残ったのですが、美しき中学生姉妹の本心の話である「柘榴」と山道にある古いドライブインへ取材で入ったライターの話である「関守」は怖かった。
想像もつかないような終わりに驚きを感じました。
私は、自分が今目の前にある世界の中で何が1番大切なのだろうと考えさせられました。
じゃあ、その大切なものが揺らいだ時にどんな行動を取るのでしょう。
馬鹿馬鹿しい想像かもしれませんが、この小説みたいな奇妙な事件だとしても時々感情移入してしまう。できてしまう。
怖いし、あり得ることでもないかもしれませんが、そんな世界に入り込める小説ってやはり面白いと感じることのできる一冊でした。
終わりに
これを読んだ時に米澤穂信さんの年齢を調べました。
1978年生まれ。現在40歳くらいでしょうか。
いつ書くのを止めてしまうのかなんてご本人には分かりませんが、まだまだこれから米澤さんの作品を楽しみにできると思った記憶があります。
この人の書く作品は本当に面白くて楽しみだと思える作者さんをたくさん見つけて常に楽しみがある状況で自らの歳を進めることができたら読書が好きな人にとってこれ以上幸せなことはないのかもしれません。
このブログは大好きな本(読んでいちいちくらくらになってしまっている本w)を中心に、大好きだったり大切に思っている(もしくは思った)事柄のみを発信しているけど、たくさん現実の世界も頑張って、探検して、その鏡としてこのブログの大好き、大切の質が上がっていけばいいと思います。
作品からは脱線しましたが『満願』はこれから先、ずっと米澤穂信さんの作品を楽しみでいられる決定打のような作品でした。