小説

村上春樹『螢・納屋を焼く・その他の短編』感想【記念碑的な初期短編集】

村上春樹さん、初期短編集!

先月参加した読書会で紹介されていた本です。

今から十年以上前に読んだことはあったのですが他の人の感想を聞いて読み直すことでとても新鮮に読むことができました。

村上春樹さんの文章の雰囲気やリズムが心地よいというファンの方は多いと思います。

中毒的に読んで、熱狂的に語る人に私自身何人も出会って来たし、私自身、もう内容も覚えていませんが大学の卒業論文で村上春樹さんを扱いました。(そしてかなりダメ出しされた笑)

「村上春樹さんを初めて読む人でおすすめするといったらどの作品を進勧める?」

こんな質問も結構よくきく質問です。

私がそんな質問の答えでよく聞くのが『ノルウェイの森』。あと『海辺のカフカ』もよく聞きます。

そしてこの短編集に収録されている「螢」はそんな『ノルウェイの森』の原点となっている作品です。

だから私的には『ノルウェイの森』をいいと思った方や、『風の歌を聴け』など初期の作品を好きな方にはおすすめの短編集です。

あと長編はなかなか手がでないという方にも、分量少なく非常に読みやすくて面白い短編ばかりなのでおすすめです!

簡単な内容紹介

誰かの温もりを求める彼女とするべきことがわからない僕。

生と死の位置関係を考え、うまく消化できない2人の短編・「螢」。『ノルウェイの森』の原点となっている作品です。

「時々納屋を焼くんです」という彼に出会い、何かが焼け落ちる「納屋を焼く」。こちらは韓国で映画化されています。

その他「踊る小人」、「めくらやなぎと眠る女」、「三つのドイツ幻想」を収めた村上春樹初期短編集です。

感想

上記しましたが、ずっと昔に読んだことはあって先週参加した読書会で紹介されていたのを聞いて久々に読みました。

高校時代から読み続けてきた作家さんなので文章のリズムが心地良くてするする入っていく。

でも他の人の感想を聞いて読むと昔とはまるで違う雰囲気で読めて新鮮でした。

作品は好きでも主人公の「僕」はあまり好きになれません笑

これは大きな変化かな。

「納屋を焼く」では消えた彼女の存在と納屋を焼くことの繋がりに感じるところはあっても、今の私の感覚ではうまく消化することができません。

「螢」では「するべきこと」や「正しいこと」を考える主人公たちに、何この人は思ってるのだろう、しているのだ、とツッコミながら読んで、でも根底に流れる哀しさと妙にさっぱりした距離感ですぐ本の中に引き摺り込まれました。

誰に感情移入できるとかではなくて、読み終わった後のなんだか泣きたくなってしまうような雰囲気が好きで、きっとこれからも村上春樹さんの新しい作品は追い、時には過去の作品を再読していくのだと思います。

終わりに

「螢」や「納屋を焼く」以外にも短編が収録されていて、しかも文庫でとても薄い。

読みやすいし、物語の筋と関係ないように思える固有名詞や会話が心地よかったりします。

もし同じように「心地よい」と感じるのであればきっとどの村上春樹作品もはまること間違いなしです。

でもだからこそ、合わない人はずっと合わないという感想を持つ人もいると思う。

驚いたのは私自身が読み直してみて、覚えていた面白さとは違った面白さで楽しめたことです。

十代と三十代の感覚の変化か。

ちなみに私が村上春樹さんの初めて読む作品としておすすめしてきたのが『海辺のカフカ』と『スプートニクの恋人』、短編だと『神の子どもたちはみな躍る』です。

そして少しでもいいなと思った人には『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』をおすすめしています。

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一蔵とけい
一蔵とけい
社会人の本好きです。現在、知的障害者の支援施設で働いています。 小説を読むことも書くことも大好きです。読書をもっと楽しむための雑記ブログを作りたいという気持ちで立ち上げました。

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