常識が破壊される衝撃のラストが待ち受ける作品。
村田沙耶香さんの作品はいくつも紹介してきましたが今の私はどうしてもこの『地球星人』を村田沙耶香作品の軸に考えてしまいます。
このとてつもない衝撃を共有したい!その気持ちで紹介します。
衝撃的で、村田沙耶香さんの作品の持つ雰囲気をメーターが振り切れるくらい炸裂している作品です。
Contents
簡単なあらすじ・説明
私はいつまで生き延びればいいのでしょう。
いつか、生き延びなくても生きていられるようになるのでしょうか。
地球では、若い女はセックスをするべきで、恋ができない人間は、恋に近い好意をやらされるシステムになっている。
地球星人が、繁殖するためにこの仕組みを作り上げたのだろう。
「地球星人」という切り口で炸裂する圧倒的個性の物語です。
地球星人の感想(ネタバレなし)
『コンビニ人間』は私の実家がコンビニで、バイトで手伝ったこともあり、あるあるが多くてすっと入れた記憶があります。
そしてこの『地球星人』は逆にぶっ飛んでて心情に理解ができるところはありつつも、自分の感覚とは違う登場人物の行動に大丈夫なの?とはらはらしながら読みました。
前半はとても痛くて辛かったです。大嫌いな種類の大人も出てきて怒りを覚えながら読みました。
でもこうやって気持ちが揺れ動くのは優れた小説だからこそなのかもしれないけど。
後半の展開はさらにぶっ飛んでます。
どうなってしまうんだろうと不安と期待で終盤は読み進めました。
「ちょっと怖いんだけど」
そんな気持ちで読み進めて最終的には絶句……。
読み終えると爽快感はなくて(笑)
なんかすごいの読んだなぁという実感でした。
グロさもあるし、賛否両論ある作品だと思います。
でもこれくらい突き抜けて書き切られた作品を体験して欲しいとも思います。
どんな展開でも読ませる力に引き込まれてしまうので、毎作品楽しみにしてしまうのです。
終わりに
「面白い」とは何なのだろうと思います。
笑ったり感動したりする「面白さ」はこの本にはありませんでした。
でも不気味に迫ってくる迫力を存分に味わうことができました。
「売れる」であろう作品を目指すのであればこういう作品は出来上がらないのだと思います。しかも『コンビニ人間』がヒットしたので似たようなものを作るのがセオリーのような気もします。
(『コンビニ人間』も好きな作品ですが)
それでもここで『地球星人』という明らかな問題作を出してきた村田沙耶香さんの書かずにはいられない力みたいなものを感じて好きになりました。