荻原浩さんの2018年11月発売の短編集です。
荻原浩さんは『明日の記憶』や『海の見える理髪店』など有名な著作多数で知られる作家さんです。『海の見える理髪店』では直木賞を受賞されています。
40代でデビューされてから現在に至るまでユーモア小説からミステリなど幅広いジャンルで作品を発表されています。
『明日の記憶』は若年性アルツハイマーを扱っていて当時の私は本当に衝撃的でした。
今作の『それでも空は青い』は苦しくなるような人間関係の中でもふと上を向いてみればもう少し頑張ってみようと思えるような人たちが描かれています。
背中を押してくれるような7つの物語が綴られた今作品を紹介します。
Contents
あらすじ・簡単な説明
人づきあいに悩む背中をそっと押してくれるような物語です。
7編の短編で成っていて繋がりはありません。
それぞれの短編はSFっぽかったり、ホラーっぽかったり、ドラマチックだったり、作品の色がそれぞれ違って楽しめる内容になっています。
それでも空は青いの感想
本当に色の違う短編が7つ入っているので楽しんで読めました。
会話もくすりと笑えるところが多くてタイトル通りしんどいことがあっても、それでも空は青いというちょっと背中を押されるような優しさがあります。
私は物語の着地点が読めなくて、そういうところが最後まで興味を持って読めたのでよかったです。
特に「あなたによく似た機械」と「僕と彼女と牛男のレシピ」が好みでした。
「あなたによく似た機械」は
そんな気分になっちゃう話なの?
という驚きがありました。
「僕と彼女と牛男のレシピ」は話自体が優しくて愛に満ちています。
それに牛男が
かわいくてやられました笑
全部の話は時々本を読んでいると出くわす優しさの押し付けみたいなところがなくて、さらっと読めてじんわり胸が温かくなります。
しんどいことがあってもふと気づけばいつでも変わらぬ青い空が広がっていたりして「もう少し頑張ろう」って思える気持ちは経験があって一つ一つの物語が胸に響いて背中を押されました。
終わりに
すごく個人的な感想でプラスに捉えて欲しいのですが、国語の教科書に入っている小説を読んでいるみたいな気分になりました。
私は国語の教科書の小説が好きで、授業中、こそこそ授業で取り上げていない小説のページを先読みするのが好きでした。よくないことですけど面白かった。
三田誠広さんの小説とか、あとねずみのアナトールの話とか赤い実弾けた話とか今でも頭に残ってます。きっと、教科書の小説は子ども達のために少し前向きになれるような小説を集めてたのかもしれませんね。
そんなことをあくまで勝手に思いました。伝えたいのはまわりくどかったですが前向きになれるいい小説ってことです(笑)