海外で高く評価され、作品が高額で取引されている村上隆さんの芸術論です。
熱い情熱と冷静な分析で語られている芸術論で、世界で認められるまでの足跡が感じられる本です。
欧米の芸術構造を分析し、戦略を立て、どのように作品をブランド化したのか。そのためのプレゼンテーションの秘訣。才能を限界まで引き出す方法……。
具体的なエピソードが面白く、どんな考えや気持ちで歩みを進めてきたのか伝わる読み物として楽しめる一冊です。
簡単な本の説明
世界的作家である村上隆氏の芸術論について語られています。
作品をブランド化する方法、プレゼンテーションの秘訣、才能を限界まで引き出す方法など技術的なものだけでなく、これまでどんな風に氏が苦しんでそして得てきたものについて1つのエッセイのように語られています。
芸術起業論の感想
今、巷ではマーケティングについての本はたくさん出ているし話題にもなっているように思えます。それに著名人の書いた自己啓発本もたくさんありますよね。
読んでみれば面白いし、インパクトもあります。
でも、あくまでも個人の感想ですが、全てではないですけど薄っぺらく思えてしまえる本も多いです。
目次を読んで太字を追って、その上でぱらぱら速読してみれば充分みたいな。データに基づいていて、理屈として正しいのは分かるんですけど、購入するまでいかない。読者が動きたくなる本というよりは読者が他の人に語りたくなるような知識のある本って感じです。
まぁ、それでもいいのだろうけど。
言い過ぎてますね。すみません。
でも何が言いたいかというとそういった本の批判ではなくて、この本は堅苦しそうなタイトルですけど、言っていることの説明に本人の体験談やストーリーが語られていて、それが小説みたいに面白くて、結論がとっても熱く伝わります。
一度話し始めたらずっと話し続けられるくらい世界や日本のアートの世界で戦うために苦労して苦労して考えて成功してきたのだということが伝わるし伝えようとして書かれているのが分かります。
36歳でコンビニの裏で弁当をもらった話だったり、等身大のフィギュアを作るために制作会社やオタキングの岡田斗司夫さん、造形師と交渉してたくさん恥かいた末に成し遂げたり他にも色々。
たくさんのエピソードも本当に面白いですし、氏の語るゴッホやマチス、宮崎駿や手塚治虫など芸術作品に触れて感じた気持ちも興味深いし面白いです。
なんか色物みたいなエピソードに思えますが、考えていることはたくさんメモを取ってしまうほど深いことばかりです。
目指している成功を手にするために他の国や自国の価値観のルーツを知ってその中で何を表現するのか、伝えるためにどんな工夫をするのか。手探りのようなギリギリまでやらなければものの見えない世界で地獄を見ることがわかっていても突っ込んでいきます。
集中力と体力が切れたら死ぬしかない世界なんです。そういう話を聞くと、自分はまだまだできると思うし、頑張る価値観が変わるのを感じます。
文庫で少し昔の本ですが本屋で平積みになっているのを見て気になり買いました。よかった、出会えて。
終わりに
タイトルの固さと表紙の顔のアップとはまるで違う印象の本でした(笑)
読み始めたら面白い話の数々に興味を惹かれます。
参考にするとかそういうことではありませんが、もっと頭を使って頑張って行こうと思える本でした。