2019年秋映画公開予定の大ヒット作!
映画についても主演が福山雅治さん、石田ゆり子さんと豪華キャストで昨年から話題になっていました。
映画『マチネの終わりに』公式サイト
原作のこの小説の作者は平野啓一郎さん。
2019年本屋大賞第5位『ある男』の著者でもあります。
この『マチネの終わりに』は大ヒットでずっと書店では平積みされている日が続いていましたのでご存知の方も多かったと思いますが、今回の本屋大賞入賞と近づいている映画化で再・大注目の作品です。
「たった三度出会った人が誰よりも深く愛した人だった―」
なんて痺れる帯の文句!
クラシックギタリストと国際ジャーナリストの切ない恋物語は読み終えると嘆息です。
あらすじ
クラシックギタリストの蒔野と通信社記者の洋子の出会いから始まります。
出会った瞬間から強く惹かれ合います。
それでもお互いの事情や環境、時代背景があり結びつくことはありません。
また蒔野はスランプに陥り、洋子は体の不調に苦しんでいます。
お互いの事情を慮りながらすれ違い、葛藤の中で自身を整理していきます。
深く強い消し去ることのできない初恋のような大人の恋愛の話です。
マチネの終わりにの感想
読み始めて2.3ページくらいで「これ面白い小説だ!」と思いました。
文章が綺麗でお洒落で、好奇心そそるような知識が散りばめられています。
憧れとは違うけど、浸ってみたい雰囲気が漂ってきて読むことが楽しかったです。
登場人物を取り巻く環境は厳しいです。
イラク戦争、自爆テロ、リーマンショック、大震災など物語の時代背景は登場人物の人生に少なからず影響を及ぼしていきます。
私自身の知識が乏しく登場人物に肩を並べて会話できるような想像はありませんでしたが、会話の重みが蒔野や洋子がこの世界にいるように思われてのめり込んでいきました。
『マチネの終わりに』を読後、感じたこと
相手を想うってどういうことなんだろうと思います。高校時代に思いやりは全部自己満足だと言われて何も言えませんでした。
どんな優しさの行為も結局それが自分自身にとって気持ちがいいものであるからといった内容だったと思います。
その通りかもしれませんが、自己満足って言葉の括りで片付けられてしまうと、悔しさやなんだか白けてしまう気持ちになった記憶があります。
この話には相手を思う気持ちゆえの選択があります。それは大人の判断とも言えます。でも決定的にすれ違います。
自己満足の結果なのかもしれないし、それが運命なのかもしれない。
迂闊に内容についてべらべら話すことは避けたいのですが、最後、胸が一杯になりました。カフェで読んでいて、後半は家で読み終えればよかったと後悔しました。気持ちのままに泣けたらもっと余韻を全力で味わえたのに。
とても心に残る小説の一冊になりました。