村上春樹初期三部作の第二作目!
初期三部作とは村上春樹さんの原点とも言える初期の中・長編作品で、『風の歌を聴け』、『1973年のピンボール』、『羊をめぐる冒険』のことです。
「僕」とその友人の「鼠」が登場することから鼠三部作とも言われます。
村上春樹さんの中毒的な雰囲気を感じられる三作品で、その雰囲気を言葉で伝えることは難しいのですが、洒落っ気のある会話やその時代特有の固有名詞で綴られた場面の一つ一つが小説の世界というよりも村上春樹さんの作る世界に入り込んだ感覚になります。
初期三部作といってもそれぞれで完結している物語なので順番も含めて読み方はそれぞれで楽しむことができます。
『1973年のピンボール』は、この三作品の中でも胸がきゅっとしめつけられる色んな別れが感じられて、中身の濃い余韻ある作品です。
Contents
簡単なあらすじ・説明
さようなら、3フリッパーのスペースシップ。
さようなら、ジェイズ・バー。
双子の姉妹との“僕”の日々。
1970年代に訪れた出会いや別れの日々が綴られた物語です。
1973年のピンボールの感想
僕や鼠の日々が細かい場面分けで描かれています。
日記を眺めているようでなんだかインスタとかSNSみたいです。
一つ一つの場面が1970年代の固有の言葉で彩られています。
学生運動とかビートルズのレコードを聴くとか、ジュークボックス、ピンボールもそうかも。
私の生まれる前の時代なのですがそういう物が溢れる空気感はどこか懐かしく感じました。
これは1970年あたりの空気が自分の小さい頃の雰囲気に近くて反応して懐かしいのか、それとも『1973年のピンボール』を初めて読んだのは10年以上前だからその読んだ時の空気を思い出して懐かしいのか分かりません。
村上春樹さんの文章って最近の言葉だとエモいってことなのかも。
感じ入る場面と言葉が胸の中で響く感じがしました。
全体としてはふわふわしている中でスペースシップというかつてはまったピンボールを機を探すという筋があって他人に勧めやすい魅力があります。
それに出てくる双子の女の子の人柄の不思議さが私には面白くてよかったです!
印象的な会話と物がパッチワークみたいに貼り付けられているようにも感じるけど、全部が同じ方向の雰囲気を感じさせてくれました。
それがちょっと寂しいのだけれど心地よくて、長期休みの読書に最適な一冊でした。
終わりに
今回村上春樹さんの文章がとても読みたくなって、前に『風の歌を聴け』を再読したこともあって読みました。
夏の季節は昔夏休みを使ってたくさん読書した経験があるせいか、私にとっては読書の秋より読書の夏なのかも。
今本屋さん行くと夏の読書として文庫本がずらっと並んでいます。
本の賞味期限って言語が変わらない限りないように感じられて嬉しいのです。
この『1973年のピンボール』もですが懐かしくて自分が学生時代にハマった本が平積みになってたくさんの学生さん達も手に取っている。
そんな気持ちになり、再読した書籍でしたが、やっぱり面白かったです。