本屋大賞ノミネート作。
著者名、木皿泉とは和泉務さん(夫)と鹿年季子さん(妻)によるなんと夫婦脚本家の名前。
共同ペンネームであり、共同執筆というわけです。
それを知って、ほんっっっとうに驚きました。
テレビドラマの脚本家としても有名で「野ブタ。をプロデュース」や「Q10」など聞いたことのあるタイトルだと思う人も多いでしょう。
過去の本屋大賞にも縁があって、『昨夜のカレー、明日のパン』は2014年本屋大賞第2位となっています。
そしてこの『さざなみのよる』はテレビ番組で紹介されたり、丸善ジュンク堂書店スタッフ65名が選出した泣ける本第1位の本でもあります。
並々ならぬエリートを紹介するような本の紹介ですが、間違いなく胸に響く物語だったので紹介します。
Contents
あらすじ
小国ナスミ、享年43歳。末期ガンに侵された彼女の章から物語は始まります。
ナスミの周りの人々、ナスミと関わりのあった人々の彼女の死というさざなみに揺れる心が描かれた14話の話が綴られています。
命をめぐっていく祝福と感動が詰まった物語です。
さざなみのよるの感想(ネタバレ)
ナスミの死から始まる命の関わる話ではありますが、重い話というよりもナスミの優しさが最後の14章まで広がっていくような話です。
14章の話はナスミと関わりがあるそれぞれ違う人物の話で死の広がりを静かな気持ちでしみじみと感じることができました。
ナスミの死を受けて悲しんで苦しくなって拘って、その先に前を向く人々の姿はナスミの人柄が亡くなってなお広がっていくみたいで胸が一杯になります。
人が亡くなるってこういうことなのか。
周りの人の気持ちに波紋みたいに波を立てて、ささやかであってもその人を知らない人にまで広がっていく。
どんな波を立てるのかはその人の生き方なのでしょう。
自分が死んだ後のことは分からないし、関係ないという考え方もあるでしょうが結果的にこの物語のナスミのような光が広がっていくような生き方をしたいと私は思いました。
おわりに
私のアカウント名の「一蔵」は亡くなった祖母が営んでいた小さな居酒屋さんの名前です。
私が小学生の時に開店して、いつか大人になったら行こうと決めていました。お酒と鯵のたたきを注文しようと決めていました。
でも高校時代に祖母はなくなり、結局一度も行くことのできないお店に変わりました。
「重っ」と思ったらすみません笑
でもきっと死ぬまでに出会えない本もあるし、その時は覚えていても忘れてしまう本もあって、それじゃ寂しいから本の良かった部分を残そうというのがこの名前で本に関わるブログやインスタの読書垢を始めた理由の一つです。(他にもいくつか理由はありますが)
なんかこの本を読んで私も知らない間に直接的でも、間接的でも色んな人の死を含めた存在の影響を受けて今生きてるんだなぁとしみじみ感じました。