綾辻行人・貴志祐介・宮部みゆき、大絶賛作品!
第25回日本ホラー小説大賞で大賞と読者賞のW受賞作品です。
上記した3選考委員を感嘆させた作品とはどんな作品なのでしょうか。
・随所に「怖さ」を描くセンスが光る。全体として大いに作者の才気を感じさせる――綾辻行人
・それぞれのエピソードのアイデアが秀逸。「しげとら」の趣向もおもしろい――貴志祐介
・ヒロイン・祭火小夜の清楚な魅力と全体に淡く漂う叙情性にも惹かれました――宮部みゆき
(選評より)
登場人物の魅力と練られたエピソードのアイデアが光る大・魅力的な作品です!
Contents
あらすじ
怪異現象に詳しい女子高校生の祭火小夜。
教師の坂口、同級生の糸川、後輩の浅井はそれぞれ、直面していた怪異現象によって彼女と縁ができます。
プロローグと第1話から4話までの構成で、1話から3話がそれぞれ坂口、糸川、浅井が直面した怪異現象の話。
4話は彼らを含めた祭火小夜の話へと繋がっていきます。
祭火小夜の後悔の感想
怖いもの見たさというか、第1話を読むとそのひやひやドキドキする気持ちで読み進めていきます。辛みが食欲を増進させるみたいに、怖さは読書欲をかき立てるものなのかも、と読みながら思いました。
特に第3話の「しげとら」がとても面白くて、短い話なのにこれからどうなってしまうのか、死を連想させるような描写に慄きながら、ページをばしばし捲りました。
ほぼ一冊の半分くらいの分量を占める4話はそれぞれの登場人物に愛着があって一気読み。全てが繋がる面白さも感じることができました。
何かの記事で(何かは覚えていませんが)小説家はストーリー屋だという記事を読んだことがあります。小説における言葉のみで紡ぐストーリー性がどれだけ大切かといった内容だったと思います(かなり昔のうろ覚えですが)。
勿論文体とか会話のリズムとか小説だって色んな技術が集約されていて、それが魅力だということも分かります。
この本の文章がうまいとかへたとかそういうことではなくて、読み終わってとってもおもしろい話だったと感じたのが第一の感想です。
読んでみてなんかはっきりしないその時代の背景や深い矛盾に満ちたような感情を描いた小説の独特の余韻も私は好きでよく読みます。
だけど怖さのスパイスがかかったエピソードで、読み終わってはっきり面白かったと言いたくなってしまうような話も好きだと感じました。
アイデアすごい!
祭火小夜の後悔の感想まとめ
登場人物の魅力というのは今読む小説や漫画で最も大事な要素なのかもしれません。
近代文学作品と現代で流行っている作品の違いは色々あると思うのですがその時代に魅力的だと思われる人物の流行りのようなものはあるのだと思います。
勿論、近代文学も現代の作品も両方面白いものは面白いのですけどね。
祭火小夜はミステリアスであり、時には(特に対人折衝で)少し弱気な面を見せたり、ギャップのうまいバランスで存在していてもっと知りたいと思わせるキャラクターです。
祭火小夜の魅力に加えてエピソードが怖くて読み終えると「そういうことだったんだ」という驚きもあって、すごく洗練された物語を読んだ気分になりました。
今後絶対注目の作家の一人です!