小説

石田衣良『絶望スクール 池袋ウエストゲートパークⅩⅤ』感想

2020年TVアニメ化決定! 超人気シリーズ最新刊!

テレビドラマでも人気を博した池袋ウエストゲートパークの物語はますます加速していき、

第15弾!

表題作「絶望スクール」を含めた4つのスカッとする短編は収められています。

読み切りで「池袋ウエストゲートパーク」シリーズを読んだことがないという方でも全く問題なく楽しめる一冊です。

絶望スクールの簡単なあらすじ・説明

ベトナム人留学生を食い物にするやつらに罰を与えるためにマコトとタカシが動き出す表題作「絶望スクール」。

SNSにネコの虐待動画をアップするやつら(「目白キャットキラー」)、朝の通学路に現れるスピード超過の暴走車(「西池袋ドリンクドライバー」)、法外な値段を家族からむしり取る引きこもり支援会社(「要町ホームベース」)と、卑劣な者たちに立ち向かうトラブルシュータ―・マコトが躍動するマコトの物語です。

ここからネタバレ注意!

絶望スクールの感想(ネタバレ)

目白キャットキラーの感想

ネコの足を切断してネットにアップする人間

虐待についてのニュースを見たこともありますし、ネットで検索してみると実際に動物虐待は起きている現実があります。

前足をなくしたキジトラを想像すると小説内の事件ではありますが実際に起きていることのように感じられて気持ち悪くなりました。

最後に大前が懲らしめらえてよかったということで片付けられるようなことではありませんがタイトの真剣に将来に向かってやる気を出している終わりはよかったです。

西池袋ドリンクドライバーの感想

どう着地するのか恐る恐る読みました。

車の事故について自分の子どもが取返しのつかないことになった時にどう収まりをつけるのでしょうか。

ジュンゴが堪えた場面、何が正解だったかは分かりません。

ただジュンゴが堪えたという事実と残った感情に苦しくなりました。

ただチハルが、

「このたびはほんとうにありがとうございました。うちの人が殺人犯にならなくてよかった」

という言葉があるから本当の正解はどうあれ、ジュンゴが堪えてよかったのだと思いました。

要町ホームベースの感想

マコトもタカシも周到に準備された策で悪徳業者に一泡吹かせる場面は本当に痛快です。

引きこもりの息子を心配する親の気持ちに付け込む悪徳業者。

息子がこのままだとどうなってしまうのかという心配の気持ちと、これから外に出て前へ進む明るい未来のギャップでドツボにハマっています。

そういう営業手法はきっと今でもたくさんあるのだと思う。

それがいいのか悪いのかは結果によって変わるのだと思いますが、立ち直り始めたシゲルを喜べないばかりか、法外な違約金をせしめようとする業者は完全な悪ですよね。

最後、Gボーイズの廃品回収も斡旋するタカシの姿に冷たいキングっぷりの奥にあるいいやつっぷりがを見て本当好きになってしまいます。

絶望スクールの感想

マコトの店が襲撃されてからのタカシとの会話シーン。

「店のほうは災難だったな。おふくろさんはだいじょうぶか」

「ああ、ぴんぴんしてる。あれはバズーカでももってこなけりゃ、死なないな」

タカシは薄く笑っていたが、おれはやつが心底腹を立てているのがわかった。うりのおふくろに手をだしたガキには、いつもとんでもないお仕置きをする癖がある。きっとおれのおふくろにマザコンなのだろう。

「キミアとマコトの店に手をだしたのなら、きつい罰を与える必要があるな。マコト、話せ」

痺れる場面です!

身内が攻撃されて一線を越えた時に普段通りの会話なのだけど、静かに怒りがにじみ出ているタカシの姿に震えます。

これはこの本の全ての作品に通じることですが弱いものや情弱者を追い詰め踏みにじる姿は全て胸糞悪い想いになります。

だけど、マコトの行動力やタカシの冷静さと情熱で打破していく姿は気持ちいい。

終わりに

テレビドラマで窪塚洋介が演じるキング・タカシの姿も魅力的でしたが、小説のタカシはもっと冷たくて、でも卑劣さを許せない熱さを持っている魅力的な人物です。

それが全編通して感じられて一話一話スカッとしながら読み進められました。

でも一つ一つの事件は今の時代のニュースで取り上げられそうな事件ばかりで頭に浮かびやすい反面、感じることはあります。

「池袋ウエストゲートパーク」はもう20年以上前から続いている物語なので、今の時代でもマコトのマコト性はまるで損なわれず、興奮させてくれて嬉しい限りです。

アニメはどんな感じになるのでしょう。楽しみです!

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一蔵とけい
一蔵とけい
社会人の本好きです。現在、知的障害者の支援施設で働いています。 小説を読むことも書くことも大好きです。読書をもっと楽しむための雑記ブログを作りたいという気持ちで立ち上げました。

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