先日三浦しをんさんのエッセイ『のっけから失礼します』を紹介しました。
たくさん笑って面白くて、感想記事を書いたらなおさらもっと他のエッセイも紹介したいと思い、『お友だちからお願いします』を紹介します。
私はふだん、「アホ」としか言いようのないエッセイを書いているのだが、本書においてはちがう!(自社比)よそゆき仕様である!(あくまで自社比)
大きく出ましたね、自分。本当によそゆき仕様かどうか、ぜひお読みになってたしかめていただきたい。
新聞や週刊誌で書かれた短いエッセイが集められています。
すこしだけよそゆきテイストで届けられた本エッセイは抑えきれない気持ちが爆笑と共感を呼ぶ「ゆるい日常」が詰まっています。
「ダ・ヴィンチ」ブック・オブ・ザ・イヤー2012 エッセイ・ノンフィクションランキング第1位のエッセイ集です。
お友だちからお願いしますの感想
「よそゆき仕様」というのは依頼をもらって書いたエッセイで、しかも多くの人の目にふれるであろう雑誌や新聞に掲載されるエッセイということで「よそゆき」のエッセイなのです。
~構成~
一章が読売新聞に掲載された「マナー」についてのエッセイを中心に集められたエッセイ。
二章は日本経済新聞の「プロムナード」という欄に連載したエッセイで成り立っています。
三章はVISAの会報誌に連載されたエッセイ中心の章です。
四章はその他さまざまと言う感じです。
こうして構成を眺めると新聞紙などよそゆきが求められるような媒体で発表されています。
だけど、だからこそいうべきか、抑えきれない個性がにじみ出ていて、共感もそうですし笑ってしまう部分の多いこと。
母親とのやりとりが一番笑ってしまいます。
しをんさんの母親と二泊三日の旅行に行った「だれと旅に行くか」の話。
旅先で母親と喧嘩をして、説教され、そして就寝した時の母のいびき。
直後、母のいびきがはじまる。しかも前夜とは趣がちがい、「おっさんが狼の唸り声をまねているようないびき」なのだ。悪い霊でも取り憑いたのかと不安になったが、眠る母の表情は穏やかである。でも、いびきだけは「おっさん狼」。なんなの、それ。私への威嚇?
こんな文章を書けるのしをんさんだけです。おっさんが狼の唸り声をまねているようないびきって何?!
お母さん関係なく、おっさんが狼の唸り声をまねている様子を想像するだけで笑ってしまうのだけど!!
本気で母親に恨みつらみを語るしをんさんや花粉症について、体重についてなど、よそゆきのようなよそゆきになりきれないエッセイばかりです。
本性をさらけ出すことがサービスでありよそゆきなのだと分かったような気持ちになりました。
だって「よそゆき」って言われたら、世間体気にしまくる当たり障りのないエッセイを想像してしまうけど全くそうでないのだもの。
さすが!
でも『のっけから失礼します』と比べると確かにテンションが若干違う。でもどちらも紛れもなく同じしをんさんであることは分かります。
だからこそ今このタイミングで紹介したいと思える最高のエッセイ集でした。