小説

米澤穂信『さよなら妖精』感想【清新な出会いと祈りの物語】

著者の出世作となった清新なボーイ・ミーツ・ガール・ミステリ!

米澤穂信さんは『満願』や『本と鍵の季節』も紹介しましたが出す作品全てが注目されている作家さんの一人です。

今回紹介する『さよなら妖精』で登場する人物・太刀洗万智は米澤穂信さんの著作『真実の10メートル手前』や『王とサーカス』の中心人物でもあります。

私が小説に出てくる魅力的な登場人物と言われて浮かぶのがこの太刀洗万智です。

ミュージシャンの星野源さんも雑誌のインタビューで大刀洗万智の魅力について語っていました。

そんな登場人物の魅力と忘れがたい余韻をもたらす出会いと祈りの物語を紹介します。

簡単なあらすじ・説明

日本のことを学ぶためにユーゴスラビアからやってきたというマーヤ。2ヶ月間の滞在生活で同年代の守谷や太刀洗万智たちと仲を深めていきます。

マーヤは故国へ帰りますが、彼女の故国で紛争の激しさは増していきます。

マーヤの安否を気にする守谷は彼女と別れてから一年がたった時、資料を集め謎に満ちた彼女についての謎解きを始めます。

 

さよなら妖精の感想

物語はマーヤとの偶然の出会いからの回想と謎解きをする現在の場面で成り立っています。

何か事件が起きたということではなく、記憶の中に謎が散りばめられていてそのかけらから真実を導いていく話です。

出会いからの微笑ましいマーヤとの思い出の場面と今の安否を気にする祈りのような現在の場面で成り立ってきて物語に惹きつけられます。

そして太刀洗万智の存在です。

彼女は恐ろしいほどに頭が切れてどこか冷たい人間のように描かれていますがところどころに見え隠れする感情の揺れ動きがどうしても気になってしまいます。

この本の高校生は少し私の思う高校生像とは違って大人っぽいのですが、悩んでいることの部分部分で共感できました。

謎解きが好きな人にはおススメです。あっと唸るような気づき方があります。

あとなんといっても太刀洗万智という人物の存在感と魅力に引き込まれます。それは迷い悩む守谷の存在があるからこそなのですが、こういう魅力的な人物で引っ張られる物語は好みだと改めて感じました。

終わりに

『さよなら妖精』、『真実の10メートル手前』、『王とサーカス』は大好きなミステリ小説の一つです。

続けて読んでいる内にすっかり太刀洗万智のファンになってしまいました。

それはそれぞれの作品の謎や伏線の切れ味や何とも言えない余韻が魅力的だからだと思います。

ぜひぜひこれからミステリを読むという人にお勧めしたい作品でもあります。

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一蔵とけい
一蔵とけい
社会人の本好きです。現在、知的障害者の支援施設で働いています。 小説を読むことも書くことも大好きです。読書をもっと楽しむための雑記ブログを作りたいという気持ちで立ち上げました。

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