漫画

田島列島『田島列島短編集 ごあいさつ』感想

田島列島さんの描く短編集!

田島列島さんの『水は海に向かって流れる』が先日「2020年マンガ大賞」に二次ノミネートされたことが発表されました!

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(この特集の中で『子供はわかってあげない』を取り上げています)

そんな田島列島さんの短編集。

なんと10年月日をかけて発表され続けた珠玉の短編全7編に加え、1P漫画やイラストも収録された一冊です。

簡単な内容紹介

「どうすればお金のもらえる漫画が描けるのかそればかり考えていました。それでも今見れば好き放題に描いて幸運にもお金をもらえた漫画たちです」(田島列島)

表題の「ごあいさつ」は、姉の交際相手の奥さんが突然部屋を訪ねてくるという”大事件”を瑞々しい感性と言葉で切り取った2008年新人賞受賞作です。

その他にも可笑しさと瑞々しさに溢れた短編が綴られています。

『田島列島短編集 ごあいさつ』の感想(多少のネタバレあり)

「ごあいさつ」の他の短編は奇抜な話ばかりなのに、なんか可笑しくて瑞々しくて、なぜか爽やかにもなってしまうような読後感が不思議です。

読んでいて心地よい漫画を描かせたら、今、私の中でナンバーワンの漫画家さんです。

ロボットが出てきたり、宇宙人が出てきたり、おっぱい吸わせてという同僚が現れたり、それぞれの短編に飽きません。

きっと『子供はわかってあげない』『水は海に向かって流れる』が好きな雰囲気だという人にとってはまるごと楽しめる短編集なのだと思います。私がそうでした。

表題作の『ごあいさつ』は複雑な関係の中で感じる妹の心情が描かれています。

あんまりシリアスになり過ぎず、それでもそれぞれの細かくて深めの気持ちが流れていてぐぐっと惹き込まれました。

他の作品は奇抜さが全面に押されるところはありますが可笑しさの中に変わらぬ雰囲気の魅力がありました。

大人も子どもも純粋さを持っている登場人物ばかりでほっこり。

終わりに

『水は海に向かって流れる』も2巻が出て、マンガ大賞にもノミネートされてすごいなぁと思っていたところでこの短編集を見つけて読みました。

短編ならではのさくっと気軽に楽しめる一冊なので隙間時間に少しずつ読むような読み方もいいかもしれないです。

この本に限らず田島列島さんの作品は、大人になって変わらないでいいように思える部分を持ち続けた大人がいてそれが私は大好きです。

現実の自分は変わらないでいいと思いながらもいつの間にか忘れていたり、取り戻せないほど変わっている自分に気づいて、ちょっと寂しくなるのですけどね。

ABOUT ME
いちくらとけい
社会人の本好きです。現在、知的障害者の支援施設で働いています。 小説を読むことも書くことも大好きです。読書をもっと楽しむための雑記ブログを作りたいという気持ちで立ち上げました。

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