はあちゅうの連作短編集!
はあちゅうはずっと超有名ブロガーとして名前を知っていました。
ブログの文章や写真が読んでいてわくわくするというか、はあちゅうの生き方に憧れを覚えるような投稿ばかりで私自身、チェックをしては動く原動力になっていました。
人の気持ちを動かせるくらいに文章がうまくて、かつとてつもない行動力でただで世界一周をする企画やオンラインサロンを立ち上げて読者に直接の言葉を届ける取り組みなどひとくくりに「作家・ブロガー」という肩書で表せない活躍をされている方です。
そんなはあちゅうの短編小説。
色んなジャンルの文章を書いてきて、しかも色んな世界を見てきたはあちゅうならではの魅力が詰まっています。
そして題材は彼女の主戦場でもある(私から見るといつも戦っているように見える)、
SNS!
帯の文句は、
衝撃の裏アカウント小説!
Contents
あらすじ
一人で過ごす夜に耐えきれない「人妻の美香」。
ネットでナンパを繰り返す「圭太 23歳」。
ツイッターにアップした絵が突然注目を浴びる大学生「ナオ 20歳」。
情緒的な恋愛ツイートが人気の「暇な医大生 21歳」。
童貞食いを繰り返す「ねね 42歳」。
「もうひとりの私」であるツイッターの裏アカを持つそれぞれの人間が登場する連作短編集です。
仮想人生の感想
帯とか売り文句とかを見ているとはあちゅうさんがSNSを中心に活躍されているので、SNSをよく知っている人間だからこその現実味ある小説というのが売りなんだろうなぁと思いました。
「ネットを知り尽くす者」って帯の文言、すごい。
そんな文言を見てからだと恥ずかしいんですが私はツイッターにあまり詳しくなくて、どちらかというと帯の内容よりも写真が散りばめられた装丁が素敵で手にとって、知らない世界だしこういうのも読んでみたいと購入しました。
読んでみたら、勿論知らない世界でやり取りされる用語が興味深くて面白かったんですが、とても寂しさに敏感な人たちの人間味溢れる小説だと感じました。
わからない用語も丁寧に親切な文章で読みやすいです。
用語自体も面白いですし。
裏アカで満たされる人物の心情を読んで、私も同じように本名じゃないアカウントだからこそ、本のレビューの中で感想に交えて恥ずかしい気持ちとかも書けて、すっきりしている部分あるなぁと感じました。
だから言いますけど、人妻の気持ちもナンパ師の気持ちも童貞食いを繰り返すねねさんの気持ちもどこかで共感できます。
SNSにはいい面も悪い面もあるのかもしれないけど、そんなことは置いておいて、小説として、感情の蓋がない世界は苦しくて、でも面白い。
時々私には自分のやっていることとこれからなりたい自分を繋げる作業が必要になります。
そんな確認みたいな作業は自分の弱さなのかもしれないけど、なくすことはできません。繋げて、目の前にある毎日を丁寧にやっていくことを大切に思って日々過ごしています。
そんな私の気持ちとこの小説の終わりが近くて嬉しく読み終えることができました。
仮想人生を読んだ後思ったこと
人と仲良くなってみて「あれ?こういう人だったんだ」という気持ちを持つことは昔からあります。
ただこと仕事という面で言うと昔は普段会社での姿が全てに思うことが大きくて表の顔として周りの人々にレッテルを貼られていくことばかりでした。
会社での働き方にフルコミットすることで共同体の絆が深まるようなところも多かったと思います。(父や母を見ていて感じたことです)
ですが今の時代、この小説のようにSNSでの自分や、副業やフリーランスでの仕事も当たり前になって働き方の多様化など、人の色んな表情は様々な形で現れます。
私の働く介護の現場はとても閉鎖的な空間ですけどそれでも人手不足もあり過去違う業界で働いていた転職者を多く受け入れていて色んな考え方の方が増えています。
どれが表なのか分からない世界で昔も今も同じなのはちゃんと生きているということ。
この小説は生き方の新しい側面を見せてくれました。