ヨシタケシンスケさんが描く新しい物語!
人気絵本作家・ヨシタケシンスケさんの新しい世界を描く絵本です。
『りんごかもしれない』や『ころべばいいのに』など当ブログでも紹介してきました。
今作はそういった大型の絵本とはまた違う趣向で読み聞かせというよりも小ぶりで一人で読んで楽しむようなものがたりとなっています。
もしも なにかを なくしたら。
もしも もどって こないなら。
今、「もどってこないなにか」が頭に浮かんだ大人にも(大人にこそ?)楽しめる一冊です。
簡単な内容紹介・あらすじ
「やあおはよう。とつぜんでもうしわけないんだけど ボク もしものせかいにいくことになりました—-」
いつもいっしょのあの子がどこかへ行ってしまう。
どうして君なの? どうして今なの?
大事なものを突然失ったとき、思いがけない別れが訪れたとき。 心にぽっかりと空いた穴は、どうやって埋めたらいいんだろう。 なんども読み返したくなる優しい物語。
ヨシタケシンスケの新たな世界が広がる絵本!
(amazon内容紹介より)
ここからネタバレ注意!
もしものせかいの感想(ネタバレあり)
もしも
あれが うまくいってたら
もしも
あちらを えらんでいたら
もしも
あのひとが そばにいたら
もしも――
少しでもそんな想いを経験した大人はほとんどではないでしょうか。
子どもだって毎日毎日過ごしていく中でその積み重ねで過ごしているのだと思います。
「いつものせかい」と「もしものせかい」を分けて捉えている世界観が斬新でした。
「もしものせかい」は頭に浮かんでしまうととっても自分にとって大きくなっている世界ですよね。
でもつながっている「自分」の世界だから、両方とも育てて大きく大きくしていくことは、無意識にやっていることだけれども、こうやってものがたりで読むことではっとさせられるものがあります。
「もしものせかい」に行ってしまったものに嘆きたくなることもありますが、そのエネルギーがいつものせかいの原動力。
膨らんだ二つのせかいのバルーンで飛ぶ「きみ」の絵がかわいらくしてほっこりしました。
終わりに
絵本は優しい。優しい世界だからこそ、短い言葉の中で前を向かせてくれる。
するりと心の隙間から光を照らしてくれるような瞬間があります。
そんな一冊の絵本でした。