岩崎書店が挑む「恋の絵本」シリーズ第1弾!
恋愛観や結婚観、ジェンダー観が変わりつつある今の世の中で「好き」という素朴な感情を肯定しつつ現代の感覚に響く恋の絵本があってもよいのではないか…ということでスタートしたシリーズだとか……。
執筆陣はとても豪華!
今月第161回芥川賞・直木賞候補作が発表されましたがこの「恋の絵本」シリーズは恋をテーマに人気直木賞・芥川賞作家が執筆、絵は人気漫画家、画家が担当しています。
今回紹介する『すきなひと』は、
作:桜庭一樹 絵:嶽まいこ
星空を眺める「わたし」の姿が素敵な装丁。
魅力的な絵本の世界を紹介します。
簡単なあらすじ・内容説明
ある夜に「わたし」は「もうひとりのわたし」とすれちがいます。
「もうひとりのわたし」は「すきなひとがいるからおいかけてる」と言います。
「わたし」にはすきなひとなんていないのに。
「わたし」は「もうひとりのわたし」をおいかけておとずれるゆめのような時間が描かれた絵本です。
ここからネタバレ注意
すきなひとの感想(ネタバレあり)
323個の文字と人生を集約したような美しい世界が絵本の中に広がっています。
すきなひとを待つ時間は朝になって夜になって季節が変わるせかいを堪能する夢のような時間なのです。
小説でも絵本でも解釈は人によって違いがでるものだと思いますが、
ひとつの星の命を感じさせるようなひゃくおくねんの夢のような時間を過ごして「すきなひと」があらわれ、せかいとさよならをしていく「わたし」を見て、
ただただ、
すきなひとを待つ世界って素敵!
と感じました。
絵本って魔法ですね。30センチ四方くらいで暑さ1センチにも満たない本の中に一つの世界が閉じ込められてる。
魔法のような時間を感じられる一冊の絵本でした。
すきなひとを読後、感じた個人的〇〇
桜庭一樹さんの直木賞受賞作『私の男』を濃厚な物語に呑み込まれる想いで読んだ記憶があります。
この絵本は全く違う種類の魅力が詰まっているのですが読み終えるまで10分ほどではあるのですが、素敵な絵とストーリーにやっぱり呑み込まれるような想いでした。
私は結婚してないし、子どももいないのですが、大学時代のように読み聞かせの機会があるならばこういう本を読み聞かせてみたいと感じられる本でした。
恋の絵本シリーズはまだまだ続くようです。
まずは現在発売されている第2弾(なんと辻村深月さん×今日マチ子さん!)を読んでみようと思います。