日本中が震えたベストセラー作家の代表作。
横山秀夫さんは『64』、『クライマーズ・ハイ』などたくさんのヒット作を生み出した作家さんです。
2002年刊行作品なので約17年前。本も話題になりましたし、映画化されてからまた注目されました。
問答無用の面白さを持つこの作品を紹介します。
Contents
簡単なあらすじ・説明
アルツハイマーを患う妻を殺害した警察官がいます。
動機も経過も素直に明かします。
所謂落ちている訳なんですが、殺害から自首までの空白の二日間の行動だけは語ろうとしない。完落ちではなく、半落ちです。
胸に秘めた想いは何なのか。
事件に関わる人達の想いが絡まりながら綴られている物語です。
半落ちの感想
自首してから刑に服すまで時間は流れていきますが、警察、検察、記者、弁護人、刑務官、裁判官それぞれの視点で話が繋がっていきます。
分量としてはそれほど厚みもない一冊の本なのにその密度が濃い。
というか章立てされているそれぞれの人物の気持ちが溢れてる感じです。
深い悲しみが常に流れていて、罪は罪で罰は罰なのだけど、それだけで片付けることが出来ない想いがそれぞれの章に滲んでいます。
ただ悲しいだけではなくて読み終えると温かい気持ちも浮かんできます。
「半落ち」という言葉に惹かれて読んでみるとそこには深いテーマが盛り込まれていて、とても複雑な気持ちになりながら読んでいたのですが、「よかった」と思える余韻を残してくれました。
終わりに
2002年9月に単行本として刊行された書籍。17年前です。
当時話題になっていたのは知っていますし、文庫になってからですが本を手に取ろうかと迷った時もありました。
でも当時なんとなく刑事が出てくるものを読みたいと思えなくて、そもそもミステリー自体ほとんど読んでなくて村上春樹とか江國香織とか好んで読んでいました。
そして映画化されても観ることもなく、本屋で何読もうかぐずぐず選んでいた時にたまたま平積みされていたこの本が目に入り初めて読みました。
読まないまま終わらなくてよかったと思えた作品です。お休みにぴったりの読書です。