「時給かなりマイナスの男」が目指す小さな世界の大きな可能性。
帯に書かれた文言に惹かれます。
山崎ナオコ―ラさんは2004年「人のセックスを笑うな」で第41回文藝賞を受賞しデビューした作家さんです。
著者紹介に書かれていた目標の言葉が印象的でした。
「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」
すごくいい言葉。こんな作家さんの文章を読みたいと思うのは私だけではないでしょう。
本作『リボンの男』は単行本で140ページほどの分量です。
読みやすさの中に浮かぶ特別な気持ちに魅了されること間違いなしの、
専業主夫“常男(あだ名は「妹子」)の物語です!
簡単な内容紹介・あらすじ
専業主夫の常男を中心とした家族の物語です。
常男(あだ名は妹子)とみどりと息子のタロウの日常はありふれた家族の姿のようにも、新しい家族のようにも見えます。
常男曰く、「時給かなりマイナスの男」が目指す、小さな世界の大きな可能性が描かれた物語です。
ここからネタバレ注意!
リボンの男の感想・レビュー(ネタバレあり)
専業主夫の常男を中心とした家族の物語です。
常男(あだ名は妹子)とみどりと息子のタロウの日常はありふれた家族の姿のようにも、新しい家族の形のようにも見えます。
常男曰く、「時給かなりマイナスの男」が目指す、小さな世界の大きな可能性が描かれた小説です。
休みの日にカフェで読書をしていると時々、とても穏やかな気持ちになって幸福感を感じられる時があります。
そういう時が訪れるのには、読んでいる本の内容とかその日の気分とかいろんな要素があるのだと思うのだけど、今日まさにこの『リボンの男』を読んでいてそんな気分になりました。
専業主夫がどうなのという話ではなくて、専業主夫の常男が色々と考えながら、奥さんのみどりや本当に純粋なタロウと紡いでいく日々に癒されました。
新鮮な感覚も多くて、興味深さと面白さと癒しで一気読みです。
あー、素敵なお休みにできた!!!
「おとうさんはねえ、ヒモじゃなくてリボンだよ。」
帯にも書かれていましたがタロウの言葉が刺さりました。
泣いてしまう、もう!笑
終わりに
専業主夫の方を私の身の回りではみたことはありません。ただ、今の時代いたとしても個人的には特に違和感は感じないと思います。
だから「専業主夫」の物語と言われてもやっていることについて特別なことは何もありません。
だけど常男の気持ちの流れと周りにいる家族のバランスが繊細に描かれていて短い中でも登場人物にぐっと惹きつけられました。
こういう静かな気持ちになってしみじみ楽しめる読書も好きです。
特に年末年始慌ただしくて、仕事でも上司の理不尽な扱いに怒りを溜め、それでも笑顔を忘れずに過ごしていたら結構気持ちは擦れていたのだと思います。その中でぽっかり空いた休みの夕方にこの本を読んでいて本当に救われたし、リセットできました。