漫画

小林有吾『アオアシ 17』感想

Jユースの世界に光を当てた、新しいサッカー漫画です。

私が小さかった頃に比べて本当にサッカー漫画が増えました。

内容も多岐に及んでいて、昔はFWとか10番に光を当てている漫画が多かったですが、今ではDF、監督、科学的な身体の使い方など本当色んな漫画が増えました。

そしてこの『アオアシ』はJユース! 攻撃も守備も両方で熱い場面が描かれています。

待ちに待った17巻も最高でした。

『アオアシ』の簡単な説明

2017年マンガ大賞第4位作品。

スピリッツで連載中です。

愛媛県の公立中学の弱小サッカー部の青井葦人はユースチームの監督福田に見いだされユースのセレクションを受けることになります。

粗削りながら強烈なサッカーの才能を秘めている葦人ですがまっすぐすぎる性格が災いして大きな挫折を経験していきます。

試合だけではなくて、Jユースチームのチームメイト、監督、コーチ、家族など周りの環境が描かれ、奮闘する少年の姿が熱いサッカー漫画です。

(17巻についての説明はネタバレ部分に記載します)

 

 ここからネタバレ注意!

アオアシ17巻の感想

『アオアシ』17巻の簡単な説明

主力を欠いた状態で臨んだプレミアリーグ・東京VANS線で見事勝利を収めたエスペリオン。葦人も新たな感覚をつかみ手ごたえを感じています。

一方、日本代表合宿に初招集された阿久津はなかなか試合に出られず、苛立つ日々を送っています。

そんな中、阿久津が嫌う葦人が大活躍しているという報が届きます。

それを聞いた阿久津はさらに苛立ちを膨らましていき……?!

阿久津はこのまま代表合宿では爪痕を残すことなく終わってしまうのでしょうか?!

そして絶好調の葦人にも予想外のニュースが飛び込んできます。

各々の人間ドラマが濃密に工作する17巻です!

アオアシ17巻を読んで感じた個人的あれこれ

厳しい環境の中、サッカー技術について葦人の成長は著しいです!1巻1巻で確かな成長を掴んでカテゴリーも上がり、いよいよユースでレギュラーに定着しつつあります。

それと同時に十代後半の変わらない少年の内面も描かれています。

17巻では葦人の母親が上京して会いにきます。

葦人と花と母・紀子と福田が揃った時の会話がなんとも言えない気持ちになりました。

葦人「こんなことしてる場合やない。俺 もう行く…」

花「こんなこと? 「こんなこと」って、なんだ? 紀子さん、キミのことが心配で上京してるんだ。話してあげることもできないのか?」

紀子「花ちゃん…」

葦人「……心配? だから…何が心配になるんや? いったい何が? 花。俺、今本当に最高の感覚なんや。船橋学院ていう過去最強の相手に、この気持ちのまま挑みたいだけなんや! なのに心配とか、気持ち削ぐようなこと言うなよ。そんなこと言う奴は今、邪魔でしか…」

花「あたしは、ただのファン一号なので、お節介とか、うっとうしいとか…そう思ったら切り離していい。他人だからな。あたしも、かえってキミの邪魔をしたんだ。反省してる。もうしないって。ただ、紀子さんにはやめろ。紀子さんだけは。」

何かに夢中になっている時にそれ以外の全ての物事が邪魔にうつってしまうことは何となく理解できます。

ユースチームという親元から離れてサッカーに専念する環境の中で生きる親と子の気持ちの難しさです。

船橋学院という過去最強の相手との試合も気になりますが葦人の気持ちの変化、最近ことごとく花とのうまくいかない関係もこれから気になるところですね。

阿久津も壁を乗り越えられた感があってよかった。挫折があって自分の強みを活かせる気持ちでの成長を手に取ったような……。

段々と気になるキャラクターも増えています。

試合の結果だけではなくて人の成長や葛藤が描かれていて満足な17巻でした。

終わりに

サッカー漫画は熱いですね。少年誌も青年誌も本当にそれぞれで個性あるサッカー漫画が増えました。

その時だけしか感じられない熱さが好きです。

わがままで自己中心的でそれでも何かをつかんで前に進んで行く。その中で少しずつ周りも見えてきて人間としての成長もある。

おっさん的な視点ですが、こういう熱さを忘れずにどんな年齢でも頑張っていきたいです。

 

ABOUT ME
いちくらとけい
社会人の本好きです。現在、知的障害者の支援施設で働いています。 小説を読むことも書くことも大好きです。読書をもっと楽しむための雑記ブログを作りたいという気持ちで立ち上げました。

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