さわぐちけいすけさんの新作です!
さわぐちけいすけさんの存在を私はツイッターで知りました。20万人以上のフォロワーのいる人気アカウントです!
バズったさわぐちけいすけさんの漫画の一部分のツイートが流れてきて、
絵がべたべたしてなくて(私個人の感覚です)好みで、あとお手本みたいな字を書く人というのが始めの印象でした。
なんとなーく読んでいたら私が普段息苦しく感じている物事を解決するような生活をされていて大好きになり、それから著作は全部追っています。
そして3月発売のこの新刊の『僕たちはもう帰りたい』は今までの著作とはまた違ったテーマのエッセイ風漫画です。(でも内容はフィクションらしい)
フィクションと言っても「あるある」感の詰まった組織で生きる人の感情が詰まっています。
「組織はよくないよ」とか「今の働き方はこうだからこうした方がいい」とか教えるような本ではありません。
だけど私は読んでいいガス抜きになったし(まるで自分の愚痴を聞いてもらったみたいな気持ち)、読後自分の気持ちがまとまった感もあります。
自分自身の気持ちは社会の中で生きていて埋もれてしまう人は結構いると思います。
自己主張は大事だし自分を強く持つことも大事ですけど、自分を追い詰めていくことでパフォーマンスを発揮しているような人にとっては「正しさ」の尺度なんて分からないし気にしない(できない)と思います。
まぁさ、力を抜いてたまにはこの本で描かれている人の話でも聞いてみようよ。漫画だし、さくっと読めるよ。そしたら他人との関係は勿論、自分との関係もうまくいくかもよ。
フランクに言ってみましたがそんな風に勧めたくなる本でした。
あらすじ
お付き合い残業、板挟み、無茶ぶり上司、非効率な会社、妻でも母でも社員でもない私など、息が詰まるような行き場のない気持ちを抱えた人たちの話です。
年齢、性別、立場は違いますが同じ願いを持つ人々がスナック「もう帰りたい」にふらっと寄って気持ちを落としていきます。
行き場もないもやもやした気持ちを胸に頑張る人たちが少し前向きになるような話が漫画で描かれています。
ここからネタバレ注意
僕たちはもう帰りたいの感想(ネタバレ)
私自身、いくつかの会社で働いた経験があり、友人知人の話を聞いた感じからすると、
少しずつ世の風潮みたいなものが会社に伝わって現実に有休をとることや定時が過ぎたら早く帰ることに対して文句を言う人も少なくなっているような気がします。
でも表向きだけでサービス残業や有休消化について「本人が言い出さないから」「勝手にやっている」という「指示はしていない」けどそういう空気にしているような環境はで働いている人は結構多いだと思います。
うやむや事なかれ主義というか。
だからこの漫画に出てくる人たちの息苦しさは自分の気持ちを吐き出しているような気持ちになります。
いくつか心に残った場面を上げます。
第一章の火野の先輩最高!
「なんでいつもそんなに早く帰れんの?」
「…すみません」
火野と先輩のやりとりです。
でもその後に先輩が
だから恥を忍んで純粋に聞いているんだ。どうやってあんなに効率良く終えているのか 教えてくれ
頭を下げちゃうの?!
先輩が頭を下げることが偉いとかではありません。
でも上下関係とか飛び越えてすっきりできるコミュニケーションに踏み出した先輩の存在に、
「かっこいい!」
長く努力を積み上げてきた経験的なプライドはあってしかるべきだと思いますが、さらに柔軟なよりよくしようと頭を働かせることができる存在は素敵です!
職場にいたら尊敬してしまうし、実際にチーム内で共有しようと動いてくれる先輩の姿、素敵だろうなぁ。そうありたいなぁ。
もう帰りたい金森
職場環境を変えようと提案する度にろくに話を聞かれもせず却下される金森。
そして金森は常に「もう帰りたい」と思うようになります。
この精神状態は経験があって激しく共感しました。
私自身の状況は置いておいてストレスが積もり積もっていくと家を出た瞬間に「帰りたい」と思い、なぜか休みの日でも「帰りたい」と。
意味が分からないと思いますが心のどこかが壊れたような状態です。
辞めてすっきりした金森がすがすがしくなっていく様子が自分と重なった部分でもありすっきりでした。
スナックのママの名言
ママの作るお酒は美味しそうです。
ちゃんと作ったカクテルというものを飲みたい、と思いました。
客にべたべたするわけでもなく、時折、存在感のある名言を放ちます。
各章全てでママの発言は要チェックなのですが、第六章のママの名言に射貫かれました。
「何でもかんでも大切だと勘違いしてたら
そりゃあ忙しくもなるだろうね」
大切な人に甘えすぎている状況に気づいて、自分が本当に大切なものを考えてみることは大切ですね。
確かに時間の使い方も変わってくるかも!
僕たちはもう帰りたいを読んで、終わりに
普段組織で働いている中で自分勝手にいかないこともあります。
他人とチームを組んで働いているわけですから。
だからといって改善できるところを訳の分からぬポジショントークや余計すぎるプライドで社員の生活の蝕みから目を背けるのは違いますよね。
ただ、「効率的」という言葉で組織に喧嘩を売るのではなく、どれだけ組織とそこで働く個人が対等でいれるかが大事だと私は思っています。
「合わないなら辞めろ」という言葉は乱暴で嫌いです。
何の思いやりもない悩んでいる人の気持ちを無視した言葉だと思っています。
ですが「辞めることができる」状況を作って、組織と対等に「効率化」や「環境整備」について建設的なコミュニケーションをすることは使い捨てられないために必要という意見です。
最後はつらつらと持論をすみません。
でもこうやって今ある現実にあるあるとすっきりを提供してくれる本があると話も進んでしまいますね笑
お酒を飲んで愚痴を吐くみたいにすっきりできる一冊でした!