13の村上春樹長編小説を足で感じる新しい文学ガイドです。
巡礼と言いますか、小説世界の舞台を現実でも感じられる幸せというのを感じることができます。
ただの散歩も好きですけど、目的を持った散歩というのもやってみると面白いものです。
本ブログでも小説と関わりのある現実での部分を感じるために出かけた記事を書くことがあります。
どれもこれもとても楽しく充実した日々を過ごせました。
今回紹介する『さんぽで感じる村上春樹』はあの村上春樹作品それぞれの舞台となった街、道、お店、食べ物、飲み物などをまとめた本です。
取り上げられている村上春樹作品
- 『風の歌を聴け』……【神戸】
- 『1973年のピンボール』……【三鷹】【神戸】
- 『羊をめぐる冒険』……【札幌】【美深】
- 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』……【新宿】【千駄ヶ谷】【青山一丁目】【日比谷】
- 『ノルウェイの森』……【四谷~駒込】【早稲田】【新宿】
- 『ダンス・ダンス・ダンス』……【札幌】【青山~渋谷】【辻堂】
- 『国境の南、太陽の西』……【神戸】【青山】【箱根】
- 『ねじまき鳥クロニクル』……【世田谷】【品川】【銀座】【新宿】
- 『スプートニクの恋人』【国立】……【吉祥寺】【新宿】【立川】
- 『海辺のカフカ』……【高松】【坂出】【野方】
- 『アフターダーク』……【渋谷】
- 『1Q84』……【三軒茶屋】【渋谷】【二俣尾】【千倉】【高円寺】
- 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』……【名古屋】【青山】【新宿】
さんぽで感じる村上春樹の感想
村上春樹の小説は、五感で楽しむエンターテイメントです。
「はじめに」のはじめに書かれている文章です。
これを読んでふむふむと頷く方も多いのではないでしょうか。
視覚は勿論、ジャズやクラシック、ロックのうんちくを交えながら描かれる音楽描写はその曲を知らなくても頭の中でなぜか「美しい」音楽が鳴ったような気がします。
味覚についても主人公の作るパスタなどの料理でお腹がすいたという経験を持っているのは私だけではないでしょう。
視覚や聴覚や嗅覚、さらには味覚に触覚といった五感が刺激に刺激されて文章の中毒性を作り上げられているものが村上春樹作品なのです。
だからこの本の読み方も色々あって、
行ってから読んでみて作品の頭からしっかりとした想像を渡らせることもできます。または逆で読んでから行ってみて小説の余韻を現実でも存分に浸ることもできます。
もしくは出かける場所が上記した場所と重なればついでに気になる場所へ寄って空き時間の充実を深めることもできます。
そして勿論、書籍のみを読んで、写真もたくさん載っている書籍なので脳内散歩を楽しむこともできます。
この本の用途は色々です。色々な方法で楽しむことができます。
だから村上春樹作品が好きな方、もしくは村上春樹作品の中で全てじゃなくても「これが好き」という作品がある方にはぜひおすすめです!
終わりに
街の地図もあればそれぞれモチーフになっていそうな施設や景色が写真と共に載せられているので本を読むだけでも楽しめます。
しかも『風の歌を聴け』から『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』までという30年以上のスパンの中で書かれた作品のさんぽ本です。
タイトルだけでも興奮してしまいそうなラインナップなのに、中身を見ればその舞台のかけらを感じられるような写真や説明が載せられていて驚きです。
村上春樹さんは全て実在するものに当て込んで小説を作ったわけではないので、「こんなところじゃないか」という予想の元で編集されている本です。
ただ地名は実在するものがでてきているわけなので私はどこかに出かけるとき、この本を持ってその村上春樹作品を読みながら軽い気持ちで散歩して楽しい気分に浸りたいと目論んでいます。