2019年本屋大賞ノミネート作品!
帯には「怖すぎる、でも面白すぎて止められない―」の文言。
ホラーを読む機会が今までなかったですが帯の力で手に取りました。
戦慄の暗黒ミステリという文言もあり、期待も高まり読んでみると……帯の通り恐怖!でも先が気になる。読み始めたら引き返せない力のある作品でした。
Contents
あらすじ
「私」は神楽坂での怪談をテーマとした短編小説の依頼を受けます。
頭に浮かんだのは過去のある体験です。クローゼットの奥にしまい込んだままの御札の貼られた封筒を眺めながら「染み」について思い出します。
思い出したのは8年前で新卒三年目の「私」は出版社の編集の仕事に就いていました。そんな私の元に大学時代の友人瀬戸から「いいお祓いの人を紹介してもらえないか」と相談を受けます。
相談の内容は瀬戸の高校時代の友人の悩みについてで話の先にはその友人の彼の死があります。
綴られている6篇は短編なのでこれ以上のあらすじは避けますが全ての話に通して言えることは奇妙で恐怖を感じる出来事と死の予感が常に付きまとうような話になっています。
ホラーであり、謎が浮かび上がりハッと気づくような最終話に繋がっていく短編集です。
ここからネタバレ注意。
火のないところに煙はの感想
実際にあった出来事の体裁で綴られています。
例えば冒頭に出てくる「私」が再校ゲラを戻し終えた作品『許されようとは思いません』は実際に2016年に新潮社から出版された著者の作品名です。
また第1話の「染み」、裏表紙の装丁の赤い染みをよく見てみると、
あやまれあやまれあやまれあやまれあやまれあやまれあやまれあやまれあやまれあやまれあやまれあやまれあやまれあやまれあやまれあやまれあやまれあやまれあやまれあやまれ……
怖すぎですよね。
それぞれはひやりとするような怖い話が連続してそれがリアリティを持って迫ってくると怖いというか恐ろしい。
最終話で榊さんと連絡がついていない私は2018年5月。私には各話で怒った恐ろしい出来事が迫ってくる予感があります。
謎は解決しきれず今の時間へ繋がっているような感じに震えました。
終わりに
理解が出来ないものが自分に迫ると怖い。特に死が近づくような迫り方だと。
小学生の時、先生がたまにしてくれる怖い話がクラスで人気でした。私も怖い話をしてくれるとなると楽しみな気分になってたと思う。
胸に冷たい風が射すような怖さ、涼しさと面白さは近いのかもしれない。
全部読み終わってズシリとくるような満足感はなかったけど、たまにはごく軽い気持ちで読書してゾクゾクくるのを楽しむのもいいかも。
短編の連作だしなお読みやすかったです。
この作品を読んだ後、背後で大きな声を出されたらきっと飛び跳ねます。
それくらいの懐かしいゾクゾクどきどきを運んでくれます。
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