亀岡拓次37歳、独身。職業・脇役俳優。
読めば亀岡を好きにならずにはいられない、そんな小説集です。
ちなみに2016年に映画化されていて亀岡役は安田顕。
私としてはイメージぴったりでした。
すごく気楽に読めて、軽く笑いながら、亀岡の生き方っていいなって軽く思えるような小説です。
私は読んで「こんな面白い本あるんだ」と驚きました。
軽くてさらっと読めてしまうけど、なんか生き方が響いてしまう。
重くて刺さって残るような小説も好きだけど同じくらい気軽に癒されるような読書も好き、そんな人におすすめです。
Contents
簡単なあらすじ・説明
『俳優・亀岡拓次』
亀岡拓次37歳、独身。職業・脇役俳優です。
札家がある場所ならどこへでも出かけます。亀岡の楽しみは一人で酒を飲むことです。
うらぶれた酒場で、二日酔いの撮影現場で、今日も亀岡は奇跡を起こします。
読めば亀岡を好きにならずにはいられない、川端康成賞作家が描く、とびきりキュートな小説集です。
『のろい男 俳優・亀岡拓次』
同じく亀岡の奇跡の小説集です。
亀岡拓次は40歳になりました。変わらず味のある脇役俳優として時々大好きなお酒を飲みつつ人生を楽しみます。
野間文芸新人賞受賞作品。
俳優・亀岡拓次の感想
脇役俳優・亀岡拓次は味のある脇役俳優で業界で重宝されています。
撮影現場やうらぶれた酒場など様々な場所で亀岡はささやかな奇跡を起こしていきます。
人間味があって行動がどこか面白い亀岡のことを私は大好きになりました。
そんな亀岡のエピソードが短編形式で綴られています。
ゆるい雰囲気で、読んでいて心地いい。私は並行して2冊読むことが多いのですが、この小説は片方の小説を置き去りにしてあっという間に読み終えてしまいました。
先が気になるとかじゃなくて亀岡に魅了されて。独り身ならこんな感じのおじさんになりたいなぁ。
この小説の第二弾『のろい男 俳優・亀岡拓次』も出ていてこれもまた面白かったです。
亀岡はただのゆるゆるおじさんではなくてゆるゆるおじさんの中に演技には本気が見えるのです。
その演技の溶け込み方が自然で、すごいのに身近に感じるという魅力があります。
だからか、亀岡は共演俳優や居酒屋のおばちゃんとか関わる色んな人に好かれるのです。その気持ちが読者にもよく分かるから読んでいてなんか微笑ましい。
終わりに
たまにはゆるゆる読書をしたくなる時もあります。
いつも心を抉るような小説を読んでたら疲れてしまうし、軽く笑えるような小説を読んでいてもやっぱり読書好きだって思えるから。
きっと読書の面白みって幅広いものなのだと感じさせてくれた本です。
ただ軽いだけではなくて亀岡の人間性に惹かれて、いつの間にか影響されているのでは思うくらい引き込まれてしまいました。
だからずっと好きでおすすめの小説として紹介しました。