創作ショートショートです。
1,2分で読めて楽しめるものをテーマに書いていこうと思います。
具体的には1000文字以内の小説をぽつぽつ投稿できたらと思います。
はじめに
1000文字小説は十年以上前ですが小〇館で1000文字小説のコンクールがありました。毎月募集があって月ごとに30名くらいの最終候補者が発表されてその中で10名が佳作以上、上位二名が入選で文芸雑誌のき〇らに乗るといった賞でした。
(伏字はなんとなくです笑)
佳作になっても図書カード500円と小規模な賞でしたけど、1000文字小説を作るのが面白くて三か月ほど続けて応募した思い出があります。
その中で今回投稿するものはその中で佳作をとることができた作品です。
何者でもない私の創作が読んでもらえると思っていませんので初めての創作投稿は少しでも評価があったものを少し今の感覚で変えたものを載せようとびびる気持ちで決めました笑
『私、星になる』
秋めく公園で私はそれを飲み干した。
あずまやにはストレートティーのような光がさしている。ただ喉越しはどろどろ最悪で風情ある景色の全てが無常にも壊れてしまった。喉を粘っこく通り、胃にずしりと溜まっていくのが分かる。私の身体に起こる変化を希望と絶望の狭間で待つ。走馬灯のように様々な記憶、思いが蘇えってくる。
そう、私は失恋した。それは辛い、辛い失恋だった。いやはや、本当に本当に辛かった。私は本当によくがんばった。だって聞いてみてくださいよ。あのね、なんで大観衆の前で……いや、よそう。男らしくない。
ぶんぶんぶんと頭を揺らし、今一度、身体の変化に集中する。
「あ」
それは絶妙のタイミングだった。私が集中仕切った瞬間に変化は起きた。指の第一関節がふっと消えた。いや消えたのではなくて、身体の内部へとしまわれたのだ。鷲がその優雅な羽をたたむかのように。さらに続いて、手足は次々とコンパクトに、そして素敵な形に変化を遂げていく。
確かに劇薬だ、と尖っていく頭の変化を感じながら思う。退職金はたいて、裏ルートから仕入れる価値はある。
「ちょっと待って」
背中から声が聞こえる。元恋人の声だ。「私が間違っていたわ」
なにがまちがっていたんだろう。もう振り向くことはできない。
「だから行かないで」
それは無理だぜ。だってもう飲んじまった。それに後悔はしない主義なんだ。ごめんよ。
お尻から高温のガスが噴出する。私は星になるんだ。きらきら煌くハードボイルドな星になるんだ。お前は私という煌く星に願い事でもしてくれ。
「なんでこうなっちゃったぬおぉぉぉぉぉぉ」
元恋人の叫び声が響く。だが、その叫び声も私の体内のエンジン音でかき消されていく。
お尻から出る炎の力で初めはゆっくり宙に浮き、段々と加速していく。あずまやの屋根を三角形の頭で突き抜けた。そしてさらに加速した。羽が空気を切って、火花を散らす。
小さくなって見えなくなった恋人と淡い恋の思い出を平成という名の地上に置いて、私は大気圏をマッハで抜けた。
終わりに
読んでくださりありがとうございます。
ふざけた内容とも思える文章ですが書いている時楽しくて文章書くのって面白かったことと、佳作が決まって初めて小〇館の編集者から電話がかかってきて緊張して手が震えた記憶が残っています。
これからも書評は雑記の合間に創作物も少しは投稿していこうと思っています。
もしよろしければこれからもお付き合いいただけたら幸いです。