第155回芥川賞受賞作品!
日本でも相当話題になった『コンビニ人間』。
私のようにこの小説で村田沙耶香さんを知ってその他の作品にハマっていった方も多いのではと思います。
その他の作品も衝撃作が多くて読んでとても自分では想像もつかない設定と展開にいつも驚かされていて新作を読むのが楽しみな作家さんの一人です。
この『コンビニ人間』も衝撃作で日本でも相当話題になりました。
ただ話題は日本だけにとどまらず米国の有名雑誌「ニューヨーカー」が選ぶ「ベストブックス2018」にも選出されています。
勿論日本人にとって今やなくてはならない存在である「コンビニ」を題材にした物語は慣れ親しみがある場面の連続で、それなのに凄まじい衝撃を与えてくれる作品ですので読んでいらっしゃらない方にとっては文庫化もしていますので注目作品です。
また文章量としてもそこまで多くなく読みやすい作品ですので再読しても楽しめるおすすめ作品だと思います。
Contents
あらすじ
36歳未婚女子、古倉恵子は大学を出て就職せずコンビニバイトで暮らしています。
コンビニバイトは18年目というベテランです。これまで彼氏はおらず、日々食べるものはコンビニ食、夢の中でもコンビニで働く姿が浮かぶような女性です。
もう店長も8人目で変わりゆくメンバーを見送りながら、完璧なマニュアルが身体に染み込んでいてコンビニと共に生活をしていると言っても言い過ぎではありません。
そんなある日婚活目的の新入り男性が入ってきてそんなコンビニ的な生き方は恥ずかしいと突きつけられます。
普通とは何なのか。
自分に問いながら進んでいく話です。
コンビニ人間の感想(ほぼネタバレなし)
分量は短いし、今となってはありとあらゆる地域で見かけるようなコンビニエンスストアなので働いたことがあろうがなかろうがイメージしやすく親しみやすい場面が続くのでなお読みやすいです。
『地球星人』など他の村田沙耶香作品ともテーマが繋がっているように思いました。「普通」という言葉はとても難しく、危険です。
『コンビニ人間』はその自分にとっての普通を探っていく物語です。
他人から見て異質でも自分にとって馴染む生き方が分かることはとても大事なことだと思いました。
それが人間ではないと言われるならば、そうですね、と言うほかなくて。
私は実家がコンビニだったこともあり久々にこの本の内容に浸かりましたがやっぱり面白かった。
あとはコンビニの、実は不自然な徹底マニュアル化された世界を好きな自分に気づきました。
暗くなるような話ではなく、とても面白いのでまだ読まれていない方はおススメです。
終わりに
私の実家はコンビニでした。
父が脱サラして立ち上げたコンビニのスタッフとして2年ほどバイトしたこともあります。私が辞めてから店舗は3店舗に増えて父は法人化しました。
きっと紆余曲折あって、そのコンビニも昨年最後の1店舗が閉店となりました。
オープンからずっと父と連れ添ってきてコンビニで働いてきた母は昨年に離婚しました。いわゆる熟年離婚です。
コンビニ人間だった母は思いの外器用で毎月ご飯を一緒に食べてますが新しい生活を楽しんでやっています。
父はたまのLINEではやや元気がなさそうですが昨年、ばらばらになった家族みんなで集まって飲んで、元気な姿を見せてくれたのできっとこれからも環境の変化をプラスに転じてくれるだろうと信じています。
個人的なことをつらつらと述べてしまいましたが、昨年コンビニが終わることを父から知らされて昔読んだこの本をぱらぱらめくっていました。
そしたらのめり込んでしっかり読み終えました。
さらにあとはお店がそこら中にある以上人生から完全に脱コンビニできませんが、生活の9割くらい脱コンビニする父がこれからも元気にそれなりに楽しく過ごしてもらえたらと息子として願っています。