先日投稿した岩井圭也さんの『夏の陰』から昨年読んだこの本を思い出しました。
創作物とノンフィクションでは重なる部分もあれば勿論違う部分もあります。
重いテーマであれば創作物できっかけを見つけて、ノンフィクションで角度を変えて読み、自分の考えを整理することが多いです。
今回は昨年この本を読み、先日『夏の陰』を面白く読んだのですが改めて振り返ってぜひ紹介したいと思い、投稿しました。
『人殺しの息子と呼ばれて』の説明
北九州連続監禁殺人事件の犯人の息子「彼」への10時間にも及ぶインタビューをまとめた本です。
著者がフジテレビのプロデューサーでこのインタビューは『ザ・ノンフィクション 人殺しの息子と言われて』という特番で放送されました。
北九州連続監禁殺人事件とは?
2002年3月に福岡市北九州市で発覚した監禁、殺人事件です。
主犯格の松永太と緒方純子が、純子の父母、妹、弟、姪、甥、知人を殺害した事件。監禁して金を巻き上げ、虐待によってマインドコントロール下に置き、被害者同士で殺害および死体処理を行わせたというものです。
あまりに凄惨な事件であったため、当時から報道規制が敷かれたことでも知られています。
『人殺しの息子と呼ばれて』の感想
事件については非常に凄惨極まりない事件です。
検索してもらえれば内容はすぐに出てくるほど世間に衝撃を与えた事件でした。
息子である彼は出生届は出されず生まれた息子で両親が逮捕される9歳まで義務教育を受けていませんでした。
家では家庭内の特殊な世界のルールで生活していて「通電」と言われる虐待を始めとする洗脳とも言える出来事が日常的に行われていました。
犯罪者の息子は当たり前ではありますが犯罪は行なっておりません。
でもその特殊な環境下に置かれている人間が育つレールは整えられておらず、両親が逮捕後、たらい回しにされるようなこともあれば、学校や就職先から冷遇されることもあります。
このようなドキュメンタリー番組に出ることも賛否両論でネット上で叩かれることも、当然のようにあったそうです。
現在の彼は結婚して暮らしています。憎しみを抱いている両親と逮捕後面会した様子も語っていました。
目を背けたくなる事件に、賛否両論ある彼のインタビューを受けるという決断、それを報道するメディア。
私自身、読んで考えていると、あくまで個人的な感想として好意的にも否定的にも両方、色々な気持ちになりました。そんな自分が正直嫌になる時もありました。
彼の奥さんや友人、高校時代未成年後見人になった先生。プラスの面で人との出会いがあったことと、今生きようという気持ちで人生に向かってることを嬉しく思います。
このような実際に起きた出来事を掘り下げて知ると、それを受け止める自分の感情や考え方にも気づきます。
『人殺しの息子と呼ばれて』の感想まとめ
この書籍は先日投稿した岩井圭也さんの『夏の陰』の参考図書に上げられていたわけではありません。
ただ改めて読んでみると読書の世界が横に広がった感覚があります。
読書は楽しむものだと私は思っていますが、こうやってフィクション、ノンフィクション織り交ぜて読むと自分の考えを掘り下げることができて本の凄さや大切さを感じます。
気づいた感情や考え方は好きでないものも多いですが、色んな気づきや発見をさせてくれて読んでよかったと思える本でした。