創作

『たいぼくをたおせたら』【創作ショートショート】

創作ショートショートです。

1000文字ほどで2,3分で読める分量です。

『たいぼくをたおせたら』

おししょうさまはおっしゃった。

「たいぼくをこぶしでたおせたらおうぎをおしえてやる」

それからぼくのたいぼくにむかってこぶしをふるうひがはじまった。

せい! せい!

あめのひも、かぜのひも、どんなときだってぼくはたいぼくにちからいっぱいこぶしをたたきつけたんだ。

こぶしにちがにじんでかぜがふれるだけでいたいひだってあった。

まるでどうじないたいぼくのおおいなるすがたにこころがおれてしまいそうなひだってあった。

それでもやすまず、

せい! せい!

ぼくはたいぼくにむかってちからいっぱいこぶしをたたきつけたんだ。

ひびたんれんをつみかさねていくことでぼくのちからはまし、あわせてまいにちのぼくのたたきつけたこぶしはたいぼくにいたみとしてちくせきされて、いつのひかたいぼくはぼくのめのまえでおとをたててたおれていったんだ……。

なんてことはまるでなくて、

ぼくのちからはねんれいとともにおとろえ、あわせてぼくのたたきつけたこぶしはちいさなぼくのこぶしにいたみとしてちくせきされて、いつのひかこぶしからからだのすみずみまでうごかせないほどにこなごなにこわれてしまったんだ。

こなごなになったぼくをみて、おししょうさまはおっしゃった。

「大僕をたおせたかい?」

ぼくははなすことがもうできなかったけれど、かぜにのってまうぼくにはもうおうぎをしりたいなんておもえなかったからどうでもよかった。

「たおせたようだな。おまえはじゆうだ」

おししょうさまはわらう。

ぼくはすきなかぜにのって、すきなうたをうたう。せいせい。ときにはやまにぶつかってはなめらかにのりこえてわらうんだ。

それだけでいい。

 

「おしまい」

絵本の読み聞かせを終えて、この絵本の教訓を考えていた。

無駄な努力が存在するということ、努力の方向は自分次第で無価値になるということ、本当に大事なことはまるで別にあること……。

色々と浮かんだけれども答えは分からなかった。そして答えを出す必要がないことに気づいた。好きなことを感じ取ればいい。

さて、大人になった僕は考える。僕の好きな風とはなんだろう。

乗れる風と乗りたい風を探して今まで生きてきたのだと思う。

乗れる風の数は増えてきた。それでも乗りたい風が見つかったかと言われれば首を傾げざるを得ない。

大きくそびえたつ頑固な僕自身が粉々になるまで必死に探し続けようと思う。

実は乗りたい風を見つけることこそが、僕の乗りたい風なのかもしれないけれども。(了)

終わりに

創作ショートショートを書く前に日々感じたことをメモしたものを見返します。

それを物語にします。

そしてこのショートショートは大きなメモのようなもので、長いものを書くための準備でもあります。

このブログを始めて、定期的にショートショートを更新してだいぶたまってきて、さらに大きなくくりでの書きたいものも見えてきたので、そろそろがんばろうと思っています。

 

ABOUT ME
一蔵とけい
一蔵とけい
社会人の本好きです。現在、知的障害者の支援施設で働いています。 小説を読むことも書くことも大好きです。読書をもっと楽しむための雑記ブログを作りたいという気持ちで立ち上げました。

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